RAW現像を始めるに当たり、何が必要になってくるのかをまとめてみます。
何か高価で特別なものが必要になるんじゃないの?
プロっぽい機材は正直手が出せないな…
そんな感想を持っている人もいるかもしれませんが、必要になるのは基本的にごく普通のパソコンと現像するためのソフトだけです。
スマホ一台だけでRAW現像できるアプリもありますが、ここではパソコンを使ったRAW現像について解説していきます。
この記事を読めば、
プロもアマチュアもみんなこうやってRAW現像しているんだ!
と安心してもらえると思います。
※この記事は【RAW現像大全シリーズ】カテゴリーの一記事です。カテゴリー内の他記事も読み進めていけばRAW現像について体系的に理解が進みますので、是非他記事もチェックしてみて下さい。
RAW現像を始める前に知っておきたいこと
RAW現像のおさらいです。
RAW現像とは「写真を仕上げるための後処理」のことです。
カメラが撮影した“生のデータ(RAW)”を、明るさ・色味・コントラストを調整して完成写真に仕上げます。
料理で例えるなら、“RAW=生の野菜や肉などの素材”であるのに対し、“JPEG=皿に盛り付けられた料理”と言えます。
素材であるRAWは、料理の仕方次第で別の料理に変わることができますが、すでに完成したJPEGでは他の料理にはしにくく、また、素材そのものよりもボリューム(データ量)もぐっと減ります。
※詳しくは下の記事へ

必要なものはこの3つだけ!RAW現像の基本環境

RAW現像を始めたいと思ったら何を用意する必要があるのか、解説していきます。
必要なものはまずは、①パソコンと②RAW現像ソフトの二つだけでスタートできます。
しかし、RAWを使うようになると欲しくなってくるのがSSDなどの③高速なストレージです。
RAWはJPEGに比べてデータが大きいため、スムーズに現像を進めたい場合にはSSDなどの導入を早いうちから念頭に置いておいた方が良いのです。
①パソコン:今のままで始められる?

RAWデータはJPEGと比較してデータ量が大きいと言いましたが、さすがに動画ファイルよりは軽いため、基本的には現在パソコンを持っていればそのパソコンで扱うことができます。
現行の機種を使っていればほとんどの場合OKです。
「メモリ8~16GB」「SSD100GB以上の空き」があればストレスなくRAWを扱えます。
少し古いパソコンを使っている人でも、外付けのSSDを追加すれば十分早くなります。
もちろんSDカードスロットなどがない場合はカードリーダーも必要となります。
② RAW現像ソフト:最初はできれば有料のソフトを

パソコンがあれば、ソフトを入れるだけでRAW現像は始められます。
ここで、初心者は「どのソフトが結局一番良いの?」と疑問に感じることでしょう。
RAW現像をするには、「Raw Therapee」や「Darktable」などの無料のソフトもあるにはあるのですが、こうした海外のオープンソース型の無料ソフトははっきり言って玄人好みのものが多く、初心者にはとっつきにくいものです。
たくさんのパラメーターがありすぎて「どの設定が正解か分からない」といった状況になりがちです。
定番の有料ソフトはAdobe LightroomやDxO Photolabなどで、AI処理やプリセットなどを使って「正解」にちかい設定を瞬時に適用してくれます。
パラメーターもわかりやすく、使いやすいため初心者向けなのは有料ソフトです。
DxOはカメラ・レンズ評価会社であり、蓄積した世界中のカメラ機材データを使った自動補正やプリセットが秀逸です。
体験版を使って、自分好みのソフトを是非見つけてみて下さい。
③ 保存とバックアップ:RAWは“失わない仕組み”が大切

RAWデータは一枚40MBほど。1000枚撮れば40GBになるので、外付けSSD(作業用)とHDD(保管用)を使い分けるのが賢い方法です。
私の場合一日の旅行で100枚弱は撮影しますので、あっという間にSSDはいっぱいになってしまいます。最近はSSDの価格も下がっていますがそれでもまだまだ高価なもの。一方でHDDは一昔前には考えられないほど価格が下がりました。SSDは頻繁にデータを読み書きする作業用、HDDは普段は使わない保管用に利用するのが得策です。
「SSDはまだ良いかな~」という人はクラウド保存もおすすめ。無料で使える容量はすぐにいっぱいになってしまいますけどね。
撮影データを仕事で使いたい人は、バックアップのことも考えておかなければなりません。
私の場合は、カメラのメモリーカードからSSDに一旦はすべて移して、そのまま作業。作業が終わったデータは作業しなかったファイルも含めてすべてHDD①にコピー。定期的にHDD①のデータをHDD②にバックアップといった方法をとっています。SSDはデータ移行後は削除して容量を広げますが、データはまるまるHDD①とHDD②に保管されています。
趣味で始めるなら、SSDとHDDが一つずつあれば問題はないでしょう。
まずはこの手順で始めよう!RAW現像の5ステップ
機材関係の準備ができたらいよいよRAW現像を始められます。ここでRAW現像のフローをご紹介しておきます。
撮影したデータをカメラのメモリーカードからパソコンへ取り込みます。
最初にやるべき補正は、カラーコレクション(基本補正)です。写真を自分好みに合わせる前に、まずは人の目で見た見た目に整える作業です。これには明るさやコントラストの他にノイズ除去や歪み補正も含まれます。
写真が整ったら、次は自分の好みの写真にレタッチしていきます。空や緑の色を強調したりするほか、フィルムカメラで撮ったような質感にしたり、目立たせたい場所を明るくするなど、部分的な補正をかけたりしていきます。
写真が自分の好みに合わせられたら、JPEGに書き出しです。料理で言うところの盛り付けの段階です。写真サイズや解像度、品質などを決めて書き出すのですが、Web用か印刷用かポスター用かなど、何に使うかによって適切な設定で書き出しを行って下さい。
書き出し時にどこに保存するか決めるのですが、一旦はSSDに書き出した場合などでも、最終的にどこに保存しておくのか、バックアップはどの段階で行うかなど、整理しておくと後から使いやすいデータになります。
以上がRAW現像のフローとなります。実際には基本補正とレタッチ、JPEG書き出しは同一機会に行ってしまうことがほとんどでしょう。
まとめ:まずは“できる範囲”から始めよう
RAW現像は「難しそう」と感じるかもしれませんが、実際に必要なのは次の3つだけです。
- パソコン(いま使っているもので基本OK)
- RAW現像ソフト(最初は体験版でも十分)
- 保存場所(SSD+HDDまたはクラウド)
この3つさえ揃えば、あなたの写真は一気に“作品”に変わります。 最初から完璧な環境を整えようとせず、まずは手持ちの環境で始めてみるのがおすすめです。
プロ顔負けの現像をするようになってから、キャリブレーション機能付きの高価なモニターを買い足したり、転送速度の速いカードリーダーを導入したり、NASでバックアップ環境を整えたりしていけば良いのです。
RAW現像の魅力は、「撮った後でも写真を自由に仕上げられること」。 その楽しさを知れば、撮影の時間もさらに充実していきます。まずは数枚だけでもRAWの現像を味わってみて下さい。
【RAW現像大全シリーズ】ではRAW現像について体系的に解説しています。他記事も読むことで理解が進みますので、是非他記事もチェックしてみて下さい。
あなたの写真ライフが、ここから一段と広がっていきますように。
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